大阪高等裁判所 平成12年(行コ)31号 判決 2000年6月29日
控訴人
遠山祐司
右訴訟代理人弁護士
河田毅
被控訴人
浪速税務署長 浦正喜
右指定代理人
北佳子
同
益野貴広
同
新名徹
同
安田英生
同
森井裕明
同
鷹野郁司
主文
一 本件控訴を棄却する。
二 控訴費用は控訴人の負担とする。
事実
第一当事者の求めた裁判
一 控訴人
1 原判決を取り消す。
2(主位的)
(一) 被控訴人が控訴人に対して平成九年七月八日付でした被相続人遠山義正に係る平成六年分の所得税(以下「本件所得税」という。)の無申告加算税の賦課決定処分(平成一〇年五月一九日付でされた異議決定により一部を取り消された後のもの。以下「本件賦課決定処分」という。)を取り消す。
(二) 被控訴人が控訴人に対して平成九年九月二九日付でした本件所得税の無申告加算税の督促処分(平成一〇年六月二六日付でされた督促金額等の変更通知により一部を変更された後のもの。以下「本件督促処分」といい、本件賦課決定処分と併せて「本件各処分」という。)を取り消す。
(予備的)
(一) 本件賦課決定処分が無効であることを確認する。
(二) 本件督促処分が無効であることを確認する。
3 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。
二 被控訴人
主文同旨
第二当事者の主張
本件当事者の主張は、以下のとおり加えるほか、原判決の「事実」の「第二当事者の主張」(原判決四頁七行目から一一頁一行目まで)のとおりであるから、これを引用する。
1 原判決八頁八行目の次に行を改めて以下のとおり加える。
「(三) 本件賦課決定処分の理由は、当初、控訴人が「義正の死亡により本件所得税の納税義務を承継したこと」によるものであった。ところが、被控訴人は、平成一〇年五月一九日、同年六月二六日の時点では、その理由を「淳子が相続により義正から承継した税額一一八万五二〇〇円分(義正の税額の二分の一)を淳子の死亡により、承継したこと」に差し替えた。このような処分理由の差替えは、本件のように控訴人と他の共同相続人との間で差別的取扱いを容認する結果となるものであるから、違法である。」
2 原判決九頁二行目の次に行を改めて次のとおり加える。
「 被控訴人は、本訴において、本件各処分について従前と異なる主張をするものではないし、そもそも、本件は、処分理由の附記を必要としない賦課決定処分及び督促処分にかかる事案であるから、処分理由の差替えの主張はそれ自体失当である。」
第三証拠
本件記録中の書証目録、証人等目録のとおりであるから、これを引用する。
理由
一 当裁判所も、控訴人の請求は、理由がないから棄却すべきものと判断する。その理由は、以下のとおり加えるほか、原判決の「理由」の「一」、「二」(原判決一一頁三行目から一八頁三行目まで)のとおりであるから、これを引用する。
原判決一八頁三行目の次に行を改めて以下のとおり加える。
「 その他、控訴人は、本件賦課決定処分には処分理由の差替えの違法があると主張して、最高裁判所昭和五六年七月一四日第三小法廷判決・民集三五巻五号九〇一頁を引用する。しかし、被控訴人は、本件各処分について従前と異なる主張をしている訳ではないし、そもそも、本件各処分においては、法がその理由の附記を要求しているものではないから、主張自体失当というほかない。」
二 結論
以上によれば、控訴人の請求は、理由がないからこれを棄却すべきである。
よって、原判決は相当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、控訴費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民訴法六七条一項、六一条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 根本眞 裁判官 鎌田義勝 裁判官 松田亨)